EESとは?日本人の対象条件と登録方法・渡航前の準備
EESの事前申請は不要。対象者は国境で登録・確認を受けます。
日本人旅行者も、シェンゲン圏の対象国へ短期旅行する場合は、原則としてEESの対象です。ただし、対象国が発行した長期滞在ビザや滞在許可を持つ場合などは、対象外になります。
自分が対象かを確認したら、次は旅程に合わせた準備です。乗り継ぎや周遊、ユーロスターでの移動も含め、どこで何をするのか、初回と再入国でどう違うのかを整理できます。
入国手続きの気がかりを一つずつ減らして、ヨーロッパで過ごす時間を楽しみに準備を進めましょう。
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EESとは?日本人旅行者の対象条件と導入状況
EES(出入域システム)は、ヨーロッパの対象国への入国・出国情報を電子的に記録する制度です。短期旅行で訪れる日本人も原則として対象で、2026年4月10日から全面実施されています。
EESへの事前申請は不要ですが、対象者は国境で登録・確認を受けます。
正式名称は「Entry/Exit System」。パスポートへの押印に代わり、旅券情報や顔写真・指紋、入国・出国の日付と場所などを記録します。

対象となるのは、シェンゲン圏と呼ばれる欧州29か国への短期滞在です。ここでいう短期滞在は、どの180日間を見ても、対象国全体で合計90日以内の滞在を指します。国を移動するたびに90日間が追加されるわけではありません。
| 旅行者の条件 | EESの扱い |
|---|---|
| 日本国籍で、対象国へ観光などの短期滞在をする | 原則対象。ビザなしで旅行できる場合も対象です |
| 日本国籍で、対象国へ短期旅行する12歳未満の子ども | 対象。ただし、指紋採取は免除されます |
| EES実施国が発行した長期滞在ビザ・滞在許可を持つ | 原則対象外。国境審査では旅券と該当するビザ・滞在許可を提示します |
滞在資格によってEESの対象外になるか分からない場合は、書類の種類と発行国を確認し、渡航先の大使館・領事館へ問い合わせてください。
対象国は次の29か国です。
- ア行:アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ
- カ行:ギリシャ、クロアチア
- サ行:スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア
- タ行:チェコ、デンマーク、ドイツ
- ナ・ハ行:ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル
- マ・ラ行:マルタ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ルーマニア
ヨーロッパのすべての国が対象ではありません。たとえば、イギリス・アイルランド・キプロスへの入国にはEESは適用されません。ただし、イギリスからフランスへ移動するなど、旅程の途中で対象国へ入る場合はEESの対象になり得ます。
EESは事前申請が必要?渡航前に確認すること

EESへの事前申請は不要です。対象者は国境で登録・確認を受け、EESの登録自体に料金はかかりません。
一部の情報を事前に入力できるアプリもありますが、利用は任意です。また、EESと、渡航前の認証制度「ETIAS(エティアス)」は別の仕組みです。
| 比較項目 | EES | ETIAS |
|---|---|---|
| 制度の役割 | 入国・出国情報を記録する | ビザ免除対象者の渡航を事前に審査・認証する |
| 手続き | 国境で登録・確認を受ける | 制度の運用開始後、対象者が渡航前にオンライン申請する |
ETIASの開始時期や申請受付状況は、渡航前にEUのETIAS公式サイトで確認してください。対象条件や申請方法については、日本人旅行者向けのETIASガイドにまとめています。
出発前に用意・確認しておくもの
出発前は、パスポートの有効期限、渡航先の入国条件、交通機関からの案内を確認しましょう。EESの事前申請が不要でも、旅行に必要な書類や準備は別にあります。
- パスポート:通常の短期旅行では、シェンゲン圏を出る予定日から3か月以上有効であることを確認します。また、シェンゲン圏に入る日に、発行から10年以内である必要があります。
- 入国条件:国籍・滞在目的・日数に応じて、ビザなどが必要か確認します。判断できない場合は、渡航先の大使館・領事館へ問い合わせてください。
- 宿泊先・帰りの交通手段:入国審査で提示を求められる場合に備え、予約内容を確認できるようにしておきます。
- 航空会社・鉄道会社の案内:旅券情報などの事前入力が必要か、空港・駅には何時に到着すべきかを確認します。
ただし、EESのために全員が宿泊予約や帰りの航空券などを紙で印刷して提出する必要があるわけではありません。
入国に必要な書類とあわせて荷造りも進める方は、ヨーロッパ旅行の持ち物チェックリストも参考にしてください。
事前登録アプリの利用条件と、登録できない場合の対応
公式アプリ「Travel to Europe」は、対応する国・地点で一部の情報を事前登録できる任意のアプリです。利用できない場合も、通常の国境審査へ進み、現地係員の案内に従って手続きできます。
利用する場合は、次の条件を確認してください。
- 渡航先・利用地点:EES対象国のすべてで使えるわけではありません。EU公式のアプリ案内で対応範囲を確認します。
- パスポート・スマートフォン:ICチップ付きパスポートや、チップを読み取るNFC機能、自撮り用カメラなどが必要です。対応端末やOSは、App Store・Google Playの「Travel to Europe」の掲載情報で確認してください。
- 送信する時期:入国時に使うデータは、対応国への入国予定時刻の72時間前から送信できます。「72時間前までに登録を済ませる」という締め切りではありません。
入力できる情報や機能は国によって異なります。送信が完了しても、国境での書類確認などは必要です。また、送信成功は入国の許可を意味しません。
登録できないときは、通信接続とアプリの更新状況を確認してください。それでも進めない場合は、通常の国境審査で係員に相談しましょう。
EESはどこで登録する?乗り継ぎ・周遊・ユーロスターの場合
EESの登録・確認を受けるのは、シェンゲン圏に入るとき・出るときの国境審査です。最終目的地で手続きするとは限らず、乗り継ぎや移動ルートによって場所が変わります。
ここでは、EESの対象となる旅行者向けに、旅程別の確認ポイントを紹介します。

飛行機を乗り継ぐ場合
飛行機でシェンゲン圏へ向かう場合は、最初にシェンゲン圏へ入る空港でEESの登録・確認を受けます。帰りは、シェンゲン圏から出る最後の空港で出国の確認を受けます。
たとえば、次のように考えると分かりやすくなります。
| 旅程の例 | EESの登録・確認場所 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 日本→フランス→イタリア | フランスの乗り継ぎ空港で入国時の手続き | フランスでシェンゲン圏に入る |
| イタリア→フランス→日本 | フランスの乗り継ぎ空港で出国時の手続き | フランスでシェンゲン圏を出る |
| 日本→フランス→イギリス | フランスで国際線の乗り継ぎエリア内にとどまる場合、フランスでのEES登録は不要 | シェンゲン圏への入国審査を通るかどうかで判断する |
「乗り継ぎだけ」「空港の外に出ない」という理由だけで、EESの対象外になるわけではありません。空港内の移動でも、入国審査を通る場合があります。
自分の便で入国審査が必要か分からない場合は、利用する航空会社や乗り継ぎ空港の案内で確認しましょう。
複数の国を周遊する場合
シェンゲン圏内だけを移動する場合、国を移るたびにEESへ新規登録する必要はありません。途中でシェンゲン圏の外へ出る旅程では、出国・再入国の際にEESの確認を受けます。
- フランス→イタリア→スペイン:シェンゲン圏内の移動です。この移動だけを理由に、各国でEESへ登録し直すことはありません。
- フランス→イギリス→フランス:シェンゲン圏から一度出て、再び入る旅程です。出国・再入国時の確認が必要になります。
なお、シェンゲン圏内でも、一時的な国境検査などでパスポートの提示を求められる場合があります。EESの新規登録とは別の確認なので、周遊中もパスポートを携帯してください。
ユーロスターでイギリスからフランスへ移動する場合
ロンドン発のユーロスターでフランスへ向かう場合は、乗車前にロンドン・セント・パンクラス国際駅でEESの登録・確認を受けます。フランス到着後ではなく、イギリスを出発する前にフランス側の入国審査を受ける仕組みです。
出発前から当日は、次の順に準備しましょう。
- 予約者全員の旅券情報を入力する
ユーロスターでは、チケットを取得するために事前旅客情報(API)の提供が必要です。これはEESの事前申請とは別の手続きです。 - チケットに記載された推奨到着時刻を確認する
ユーロスターは、EESを含む乗車前の確認に必要な時間を考慮して、駅への到着時刻を案内しています。出発直前ではなく、この案内に合わせて駅へ向かいましょう。 - パスポートを用意し、駅係員の案内に従う
当日の案内に沿って、EESの登録・確認と入国審査を受けます。
推奨到着時刻と改札の締め切り時刻は異なります。予約後に届く案内も確認し、不明点があれば出発前にユーロスターへ問い合わせてください。
ヨーロッパで鉄道を使って周遊する方は、鉄道チケットの予約方法やパスの選び方も確認しておきましょう。
EESのやり方|初回登録・再入国・出国の流れ
EESは、初回に必要な情報を登録し、再入国時は登録済みの情報と照合して本人確認を受ける仕組みです。出国時にも確認があり、出国の日時や場所が記録されます。
ここでは、ビザなしで短期旅行する日本人を中心に、手続きの流れを紹介します。端末の有無や操作の順番は場所によって異なるため、現地の案内に従ってください。

初めて登録するときの流れ
初めてEESへ登録するときは、パスポート情報の読み取り、顔写真の撮影、指紋の採取を受けます。「初回」とは、初めてのヨーロッパ旅行ではなく、初めてEESに情報を登録するときを指します。
大まかな流れは次のとおりです。
- パスポートを提示する
係員に渡すか、案内されたセルフ端末で読み取ります。 - 顔写真・指紋などを登録する
係員や画面の案内に従って、撮影・指紋採取を行います。端末で質問が表示された場合は、その内容に回答します。 - 入国審査を受ける
セルフ端末を使った場合も、端末での入力だけで入国手続きがすべて終わるわけではありません。その後の案内に従って審査を受けます。
12歳未満の子どもは指紋採取が免除されますが、パスポート情報や顔写真などの登録は必要です。
パスポートを読み取れない、撮影や指紋採取がうまくいかない場合は、その場の係員へ相談してください。
登録済みで再入国するときの流れ
EESに登録情報が残っている場合は、その情報を使って本人確認を受けます。通常は初回と同じ情報をすべて登録し直す必要はありませんが、登録済みでも入国審査は必要です。
- パスポートを提示する
係員や案内された端末で、旅券情報の確認を受けます。 - 登録情報との照合を受ける
顔写真や指紋などを使って、登録された本人であることを確認します。 - 入国審査を受ける
入国の可否が審査され、今回の入国情報が記録されます。
必要に応じて、顔写真や指紋などを再び収集・登録する場合もあります。毎回同じ確認方法になるとは限らないため、当日の案内に従いましょう。
出国するときの流れ
シェンゲン圏を出るときも、パスポートなどの確認を受け、出国情報が記録されます。顔写真や指紋による本人確認を求められる場合もあります。
- 出国審査でパスポートを提示する
係員や案内された端末で、確認を受けます。 - 求められた本人確認に対応する
撮影や指紋の確認を案内された場合は、その指示に従います。 - 確認が終わってから先へ進む
出国の日時・場所がEESに記録されます。係員やゲートの案内に従って進んでください。
EESについてよくある質問
EESに登録した情報はいつまで保存されますか?
EESの個人データは、原則として最後の出国または入国拒否から3年と1日保存されます。出入国・入国拒否の記録は、作成日から3年間です。出国が記録されていない場合、個人データは滞在が認められた期間の終了日から5年間保存されます。これらはデータの保存期間であり、滞在できる期間ではありません。
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